NPO法人 グローバル・ヒューマン・イノベーション協会 副理事長 / 昭和女子大学 専任講師 三宅 ひろ子 様
三宅「英語ができる人材=グローバル人材」という考え方に、以前から疑問を持っていたんです。その疑問を他の大学教員や実務に携わっている方々に話したところ、皆さん同じ問題意識を持っていらっしゃることが分かりました。そして、「真のグローバル人材を増やそう」という共通の思いから、グローバル・ヒューマン・イノベーション協会が立ち上がりました。
三宅「国際コミュニケーションマネジメント・プロフェッショナル」の育成・認定が主な活動となります。会計分野で言う「会計監査」の国際コミュニケーション版とでも申しましょうか。
三宅企業が外国人社員を雇用している場合、日本人社員とのコミュニケーションは上手くいっているのか。あるいは、海外支社・海外クライアントとのコミュニケーションは上手くいっているのか。これらを監査する仕組みが無い、という問題を抱えている企業が多いことが分かったんです。コミュニケーションのトラブルが、現在あるいは将来の大きな損失につながりかねない、と。
三宅おっしゃる通りです。ただし、我々が直接コンサルティングをするのではなく、国際コミュニケーションを客観視・査定・改善できる人材を「育成・認定」するのが主となります。その方が、より多くの企業の問題を解決できると思いましたので。
三宅「グローバル人材とは、英語力の問題だけではない」という考えを世の中に広めるにあたり、対象者を絞りたくなかったんです。学生、会社員、お子さん、主婦の方。幅広い方々に広めるには、講演会という形が適しているだろうという話になり、開催の運びとなりました。
三宅念頭に置いているのは、「その道を本当に究めている方」という点です。ご自身の道を究め、道中の困難にも負けず継続して努力されている方。その言葉には重み、そして説得力があります。そうした方々に実体験をお話しいただく事で、参加者の方々に「グローバルとは自分とかけ離れたことではないんだ」と、自分事として捉えていただけると考えています。
三宅おっしゃる通りです。そしてその一人として、BLACKさんにもご登壇いただきました。
三宅当時、英語の授業を魅力あるものにする目的で「TEDの動画を取り入れよう」という動きがありました。様々なスピーカーのTEDトークを見た中で、2013年当時日本人としては唯一スピーチをされていたのがBLACKさんでした。
三宅そうなんです。お話は、「一度は望まない道に進んだが、自分の人生と真剣に向き合い一歩を踏み出し、そして夢を叶えた」という素晴らしいものでした。私は映像を視聴した後、率直に「学生にも同じような道を歩んでもらいたい」と感じ、英語の授業で見せては「この一歩を踏み出す勇気が大切なんだよ」と伝えてきました。
三宅また別の視点では、BLACKさんは日本人英語話者としても理想像です。学生に対し、「たとえネイティブ・スピーカーの英語を習得できなくても、それは壁になんかならない。日本人らしい英語であっても、自分の道で勝負している人がいるんだよ」と伝えることができました。
三宅普段から授業の中で「日本人英語でもいいんだよ」と伝えてはいるのですが、教員の発言だけではなかなか言葉通りに受け取ってもらえないこともあります。その点でBLACKさんは道を究めつつも日本人英語で勝負してきた実体験をお持ちですから、理想像としてぜひ紹介したかったんです。
三宅講演の最後におっしゃっていた、「壁なんて無い」という言葉がすべてを物語っているな、と感じました。国際コミュニケーションにあたりイメージされがちな、語学力や文化の壁。実際に体験するとそんな物は無かった、というお話でしたよね。
三宅皆さんとても満足されていたと思いますよ。お一人お一人が興奮・高揚されていて、なかには帰り際に涙を浮かべている方もいらっしゃいました。「私、実は迷っていることがあったんですが、今日BLACKさんのお話を聞けて本当によかったです」と。
三宅実際に講演を拝聴して特にすごいなと思ったのが、講演の内容がどなたの人生にも当てはまる、という点です。当日は学生からご年配の方まで幅広い方々にお越しいただきましたが、どんな年齢の方でも自分に結び付けることのできる内容だと感じました。
三宅つまらなさそうにしている方が一人もいなかったのがすごいなと思いました。閉会後に皆さんをお見送りいただいた際も、全員が熱心に質問をぶつけたり感想をお伝えしたりしているのを見て、皆さんの満足度の高さを感じました。
三宅こんなにも皆さんの心を揺さぶる、皆さんが一歩を踏み出すためのきっかけ作りに携わることが出来て、私たちも本当に嬉しく、誇りに思います。ぜひこれからも多くの方々の背中を押してあげてほしいです。学校・教育業界にもぜひ進出していただきたいです!